2008-01-01から1年間の記事一覧

太鼓たたいて笛ふいて・二回目@紀伊國屋サザンシアター

小説家、林芙美子の後半生を描いた音楽評伝劇。 昭和十年、淀橋区下落合(現・新宿区中井)の林芙美子の借家から始まり、昭和二十六年同じく下落合の芙美子の自邸にて終る十六年間を、林芙美子、芙美子の母で行商の経験豊かなキク、ポリドールレコードのプロ…

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太鼓たたいて笛ふいて@紀伊國屋サザンシアター

小説家・林芙美子の後半生を描いて定評のある舞台の再々演。私は再演に続いて二回目の観劇だ。 四年ぶりだという。この七名のキャストを揃えて抑えるためにはそれだけの時間が必要だったのだろう。その間に、初演・再演で加賀四郎を演じた松本きょうじは鬼籍…

線の巨匠たち−アムステルダム歴史博物館所蔵 素描・版画展@東京藝術大学大学美術館/展示室1,2

アムステルダム歴史博物館所蔵の素描コレクションと、芸大所蔵の素描作品の展示。 見応えあり。よく、洋画家のデッサン力は日本画家には到底叶わない、という乱暴な言い方を耳にするが、何をどう基準にして比較できるのかかねがね不思議に思っていた。それと…

櫃田伸也:通り過ぎた風景展@東京藝術大学大学美術館/展示室3,4

退任記念の回顧展だそうだ。 櫃田伸也とか宇佐美圭司とか荒川修作とか、一時期よく見たなあ。 一時代を築いた画家の作風は懐かしいと同時に、数十年描き続けて変化(進歩)を遂げてゆく過程も伺えて興味深い。 画家の宝物である絵本やおもちゃ、発想のヒント…

東南角部屋二階の女@ユーロスペース

香川京子と高橋昌也。この組み合わせで新しい映画を観ることが出来るとはね。 いかにも日本映画らしい、と書くと半分逃げを打っているようなものだが、ちょっと詰めが甘いけれど、その分何とも言えない空気感を醸し出すことに成功している。高橋昌也さんなん…

ベルリン・フィルと子どもたち@ユーロスペース

ベルリンの教育プログラムのドキュメンタリー 果たして日本ではこういうこと(教育プログラムとしてのダンス・プロジェクト)ができるのだろうか。もちろんこのスタイルを真似ろということではなく。 その国の文化とその国の未来についてどれだけ向き合って…

表裏源内蛙合戦@シアターコクーン

井上×蜷川・温故知新シリーズ(勝手に命名)第四弾。 壮年井上ひさしのエネルギッシュで猥雑な初期戯曲を、エネルギッシュで露悪的な老年蜷川幸雄が精力的に演出するシリーズだ。平賀源内というと私のイメージはNHKドラマの山口崇と仲谷昇の田沼意次だ。この…

帝国オーケストラ<ディレクターズカット版>@ユーロスペース

ナチス政権下のベルリン交響楽団を楽団員の視点から捉えた秀逸なドキュメンタリー。 ヒットラーの誕生記念コンサートなど、戦時下の映像や音源がかくも保存されていることにまず驚いた。

落下の王国@新宿武蔵野館

単館ロードショーのこういう映画をかなり気楽に観ることが出来るのは、都内在住の大きなメリットだ。 残念ながらプログラムは売り切れ、発売元にも在庫なしとのこと。ひとまず公式サイトを貼っておく。ギャラリーは必見だ。 http://www.rakka-movie.com/

野外上映@日比谷公園

アニメーション 『岸辺のふたり』 『木を植えた男』日比谷公園のガーデニングショーでのイベントの一環で野外上映会を観た。 「野外上映」という音に感じる懐旧と晴れがましさ。 ローヤルニューL型映写機という、昭和二十年代に製造販売された日本製の映写機…

室瀬和美展@池袋西武

漆芸作家の個展 重要無形文化財保持者と紫綬褒章のダブル受賞記念というおめでたい展覧会だ。室瀬和美の作品は「蒔絵」や「螺鈿」という古くからの技法を用いながら、シャープでモダンで独特のデザイン感覚に優れている。 決して奇を衒う作風とは感じさせな…

から騒ぎ@彩の国さいたま芸術劇場大ホール

蜷川幸雄の彩の国シェイクスピア・シリーズ第20弾。 さいたま芸術劇場という劇場に興味があったので、足を伸ばしてきた。演目は『から騒ぎ』。現代の眼で見ると色々と奇異というか、腹が立つというか、そんな男(たち)はサバ折りにして捨ててしまいなさい!…

ちょっとノゾいてみてごらん@SPACE 107

この劇団、今年で20周年なのだそうだ。 その(人知れず)記念公演に選ばれた演目が「ちょっとノゾいてみてごらん」。何年か前に東京芸術劇場小ホール2で初演された、創立メンバーの永井寛孝作・演出によるオリジナル歌入り芝居の再演で、初日を観てきた。 …

パリ・ドアノー ロベール・ドアノー写真展@日本橋三越新館ギャラリー

ドアノーの写真を見ていて感じる何とも言えない温かさ。人間への慈愛を湛えた眼差しが好きで、写真集を手に取ることが多い。でも写真はやっぱり生で、大判で見たい。 デパートの物産展に併設された展覧会があって、初日と最終日に行った。彼が遺したネガは45…

キーン K E A N @天王洲 銀河劇場

市村正親の舞台を観るのは、たぶん3回目だ。 『デモクラシー』、『リチャード三世』、そして『キーン KEAN』。 開演を待ちながら、『リチャード三世』での第一声から客席を掴んだ演技を思い出していたら、なんと幕が上がるとリチャードがいた。以前に純正シ…

船乗りクプクプの冒険@東京都児童会館ホール

原作は、北杜夫のナンセンス・ユーモア小説だ。初版は昭和37年だという。 私が読んだのもかれこれ四十年近く前で、ものすごく面白かったのと、終り方が意外というか、こういう結末の小説があるんだと呆然とした記憶がある。子どもには毒だったのかも知れない…

ジョン・エヴァレット・ミレイ展@Bunkamura ザ・ミュージアム

ラファエル前派で有名なミレイの大規模な回顧展。 大規模回顧展としては110年ぶりで、世界巡回なのだそうだ。日本では北九州と東京の二カ所を回る。少年期のデッサンや写生、ラファエル前派時代の作品。 それ以降、デッサン力と色彩のバランスのよさで押し倒…

落語娘@シネ・リーブル池袋

映画は割引サービスで観る。 少し前の話になるが、サービスデイだったので、ひとまず映画館に行ってみた。ラインナップは『百万円と苦虫女』『純喫茶磯辺』『TOKYO!』『落語娘』の四本で、どれに転んでもいい感じだ。まあ、トップワンは『TOKYO!』だったんだ…

怒濤の二本立て@池袋HUMAXシネマ

観たのは『パコと魔法の絵本』と『グーグーだって猫である』の二本。 『パコ—』については「好きだー!」と絶叫。 『グーグー—』は「楽しめました」と一言。 どちらもいい映画だった。 同じ日に二本観るなら、『パコ』を先に見ておかないと、『グーグー』の…

名曲リサイタル@NHK509スタジオ

公開収録というものに行って来た。前半が声楽(ソプラノ、ソロ)、後半がピアノソロの二部構成だ。事前にAD(だろうな)の女性が観客に向かって注意事項を述べる。 曰く、マイクが音を拾うので渡されたプログラムはあらかじめ折り直して足下に置くように。曰…

闇に咲く花@紀伊國屋サザンシアター

井上ひさしは繰り返し「戦争」を描いている。「戦争」とは無論「先の大戦」である太平洋戦争だ。それをモチーフにして手を替え品を替え、劇作家として一体いくつの切り口を引き出す事が出来るだろうかと、大きな大きな塊に向かい、正面から、側面から、上か…

怪談 鬼火の沼@wowow

何気にザッピングしていたらちょうど始まるところだった。「××さまのお屋敷には、もう足を踏み入れる人とてないのでございます」みたいな、女性のゆっくりとおどろおどろしげな語り口が気に入って手を止めたら、焼け落ちた屋敷がまだ盛んだった頃の様子にオ…

クローバー@シアター風姿花伝

以前から気になっていた、シアター風姿花伝。 知り合いの関係者が出る舞台のお知らせを貰ったので、渡りに舟と行って来たのが、BONBON組公演「クローバー」だ。こういう小劇場公演は昭和の御代にはよく行ったものだが、ここ数年は年に一回あるかないかになっ…

里親募集中!

シーズー犬ファミリーの里親募集の記事でしたが、みんなそれぞれによいご家庭に巡り会えました。 ありがとうございました。

五右衛門ロック@新宿コマ劇場

千秋楽公演を当日券で観る。これで今年の運は使い果たしたかも。 シンベリンに続いての千秋楽公演だが、これはたまたまの巡り合わせで、決してマニアではない。新感線は二回目。前回は新感線としては異色だったらしい『吉原御免状』で、今回は新感線の原点に…

シンベリン@あうるすぽっと

千秋楽公演。 イエローヘルメッツは山崎清介。曲は「勝手に観光協会」の『おはよう舞妓さん』であった。 「子供のためのシェイクスピアカンパニー」を初めて観た時にたまたまイエヘルに遭遇して以来、極力開演15分前には到着するよう心がけている。歌を聴け…

道元の冒険@二回目

同じ舞台を二度観に行くなどということはかなり久々だ。 相当こなれて来ており、笑いどころの取りこぼしが無くなっている。こういうとき、得てしてしつこく長くなりがちなものだが、むしろテンポに強弱がつき、全体のメリハリが出ているのに感心した。開始が…

道元の冒険@シアターコクーン

井上ひさしと蜷川幸雄、これは私にとっては無条件でチケットを手に入れたくなる組み合わせだ。特に近頃ではめっきり上演機会の減った初期の井上作品を(金に糸目を付けずに?)取り上げてくれているのが嬉しい。「天保十二年のシェイクスピア」「藪原検校」…